078-926-0331

24時間WEB予約

MENU

おなかブログ

BLOG

(緊急)潰瘍性大腸炎、クローン病における新型コロナウィルス感染リスクについて

 

 コロナウイルス、まだまだ収まる気配がありませんね。潰瘍性大腸炎やクローン病の治療で免疫調整剤(イムランやロイケリンなど)や生物学的製剤(レミケードやヒュミラ、エンタイビオなど)を使用されている方は特に、「自分はコロナにかかりやすいのではないか…」と不安に思われている方も多いと思います。この度、日本炎症性腸疾患学会から現時点での報告として通知がありました。長くなりますが、一部要約してご報告します。

 

1.報告されている炎症性腸疾患患者におけるCOVID-19感染事例について

海外の状況

4月6日時点でのデータでは世界で326例(クローン病189例、潰瘍性大腸炎135例)の報告があり、日本からも1例報告されています。患者背景で注目すべきは患者年齢で80歳以上の13人のうち9人が入院し6名が死亡しています。

国内の状況

各製薬企業に3月31日時点で報告されている情報をお知らせします。

レミケード® 国内報告事例なし
ヒュミラ® 国内報告事例なし
シンポニ-® 国内報告事例なし
ステラーラ® 国内報告事例なし
エンタイビオ® 国内報告事例なし
ゼルヤンツ® 国内報告事例なし

 

2.免疫調節薬や生物学的製剤による治療について

現在の段階では炎症性腸疾患の治療はこれまでと同様に行い、疾患活動性を抑えることが重要であると考えられます。免疫制御治療を受けている患者さんに関してはこれまで同様に感染症リスク対策が必要です。特にCOVID-19感染重症化リスクが高い高齢患者さんについては社会的距離を含めて注意をしていただきたいと思います。

 

以下、欧州の炎症性腸疾患学会からの声明です。

高齢者あるいはCOVID-19感染のリスクとなる併発症を有しているIBD患者さんにおいて免疫調整薬や生物学的製剤を行うべきかどうかについて十分なデータはないものの現時点ではCOVID-19流行前と変わらず必要な治療を継続するべきである。いっぽう、高齢患者はCOVID-19流行前から感染症リスクが通常患者さんよりも高いことが報告されており、これについてはこれまでと変わらず考慮されるべきである。
COVID-19感染では60歳以上の患者で致死率が高いことが示されており、80歳以上の患者の致死率は20%にもなる。 したがって、高齢のIBD患者は、特に免疫抑制の場合は、社会的距離の厳格化を含め地方/国の保健当局によって推奨されるすべての予防策を講じる必要がある。

 

まとめると、

① IBDであってもコロナウイルスに感染しやすいという報告はない。
② 治療によるリスクは明らかではなく、現在の治療を続けるべきである
③ 死亡例の報告もあるが、基礎疾患をお持ちでない方と同様に高齢者に多く、疾患や治療薬との関係は明らかではない。
④ 免疫抑制を伴う治療(ステロイド、免疫調整剤、生物学的製剤など)受けている患者さん、特に感染重症化リスクが高い高齢患者さんは、しっかりとした感染対策(手洗い・うがい、マスクの着用、他人との距離を保つ)を行う。

 

 炎症性腸疾患の悪化要因としてストレスが関与していると言われています。現時点では過度に心配をすることなく、ご自分でできる対策をしっかり行ってください。1日でも早く皆様が安心して生活できる日が迎えられることを祈っています。

カテゴリー

最近の投稿

月別アーカイブ