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栄養療法について ~バイオ時代の医者が思うこと~

 

あんどう消化器内科IBDクリニックのブログです。

 

明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。

 

 

 


 

 炎症性腸疾患の患者さんからよく、「食事療法はしたほうがいいですか?」と聞かれます。特にクローン病の方からよく聞かれるのですが…、実はされたときにどう答えるべきか、いつも迷う質問でもあります。

 栄養療法は、特にクローン病の方にとっては非常に有効な治療手段であることは間違いありません。事実、栄養療法の緩解導入効果がステロイドのそれに比較して同等もしくはそれ以上であるという報告は多数あります(少々古いデータばかりですが)。クローン病の食事療法の基本は、「高カロリー、低脂肪食、低残渣食」であり、一日に必要な栄養分の半分を食事から、残り半分の栄養分を成分栄養剤(エレンタールの事ですね)で摂取する、いわゆる“half ED”療法が長期の寛解維持に有効であるといった報告もあります。

 

食事(栄養)療法のメリット

  • 治療効果が高い
  • 副作用がほとんどない
  • 体調に合わせて自分自身でコントロールすることができる
  • 他の治療と併用することができる(これは大きなポイントです)

 

食事(栄養)療法のデメリット

  • 摂取できる食べ物が限られ、QOL(Quality of Life;生活の質)を下げる可能性がある
  • 疾患活動性が高い(炎症が強い)時には不十分である可能性が高い
  • 成分栄養剤(しつこいようですがエレンタールの事です)の摂取が困難(個人差はかなりあります)

 

 クローン病の治療には大きく分けて「薬物療法」「栄養療法」があります。以前は有効な薬物も少なく、治療において「栄養療法」の占める割合は大きいものでした。しかし、レミケードをはじめとした、「生物学的製剤(バイオ製剤とも言います)」の登場から20年が経過し、その割合が相対的に低下してきていることは否めません。ですが、非常に有効な治療法である事実は変わっていません。

 

 ただ、忘れてはいけないことは、治療はあくまで患者さんが「豊かな生活」を送るための手段でしかなく、それ自体が目的ではないということです。言い換えれば、色々ある治療も、患者さんのQOLを保つための“道具”に過ぎません。栄養療法は非常に有効な治療法ですが、ある程度の「我慢」を強いられる治療法です。それを差し引いてもQOLを保つためにやる価値があるのであれば、積極的にやるべきだと思います(実際、栄養療法により体調が落ち着き、“普通”の生活を送れている方は大勢いらっしゃいます)。逆に、それをすることが苦痛となり、かえってQOLを下げてしまうのであれば、「栄養療法をしない」という選択肢もアリではないでしょうか?

 

 何をもって「豊かな生活」とするかは人それぞれであり、医療者側が一概に「これが正解!」と決めるのは少し違うのかなとも思います。逆に、病状や今後の経過予測から、栄養療法をするメリットが大きいと思われる方には積極的に勧めていくということも、専門クリニックの大事な役割でもあります。

 

 というわけで、最初の「食事療法はしたほうがいいですか?」の答えは、「することによってあなたが幸せになるのであればぜひやりましょう!」という事にしておきます。

 

 

 

 

・・・正月太りした自分が語るのも何なんですけどね 🙁

 

 

 


 

 

「幸せ」つながりでお勧めの曲を…

 

Georgie Fame – Happiness

ポップなメロディーと多幸感あふれる歌詞が何か好きです 😛 

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