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お腹と心の関係 ~過敏性腸症候群について~

 

 「心はどこにあるのか?」…この疑問は有史以来繰り返し議論されており、西洋では古代から、心は脳にあるという説が大勢を占めていました。これに対して、古代中国では人体は「五臓六腑」から成り、脳は五臓に含まれておらず、思考、感情は五臓が司るとされていました。日本は中国医学の影響を色濃く受けており、感情は心臓で、物事は腹で考えるとされてきました。「腹」を使った言い回しやことわざ(“腹を立てる”、“腹を割って話す”、“はらわた(腸)が煮えくり返る” など)があることからも、以前から日本人は、お腹(特に腸)に心があると考えていたようです。

 

日本最古の物語である竹取物語にも「腹立たしきことも慰みけり」という表現があります。

 

 過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:IBS)は、日本消化器病学会ガイドラインでは、「代表的な機能性腸疾患であり、腹痛あるいは腹部不快感とそれに関連する便通異常が慢性もしくは再発性に持続する状態」と定義されています。要するに、「便秘とか下痢、腹痛がずっと続いているけど、病院で検査をしても異常が見つからない、でもつらい…」状態です。よく、「ストレス性の下痢ですね~」とか言われてしまうあれです。ですが、実際に診療していると、“ストレス性”と言ってしまうのは若干の違和感を覚えます。確かに、ストレスが全く関係ないとは言いませんが、IBSの患者さんがすべてストレスを訴えられるかと言えばそうではありません。明らかなストレスを自覚されている方は、むしろ少ないように思います。むしろ、おなか(腸)にも心があり、心の揺れ動きが症状として表れていると考えるとしっくりとくる印象があります(IBSにおける脳と腸の関係など、病気の成り立ちや治療法については改めてお伝え出来ればと思います)。

 お腹にも心があるというのは、われわれ日本人に受け入れやすい感覚だと思います。心の不調にどう取り組むか、気になる方はぜひ専門科(消化器内科、胃腸科など)で相談していただければと思います。

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