おなかブログ
BLOG
BLOG
内視鏡検査の予約を取るときに、「鎮静剤は使いますか?」とお尋ねしたとき、「全身麻酔じゃないんですか?」とよく聞かれます(その時はたいてい、少し不安そうな顔をされています)。通常、内視鏡検査では“鎮静”はしますが、“麻酔”はしません。
“鎮静”と“麻酔”は以下のような違いがあります。
鎮静 | 薬物などによって神経の興奮をしずめること |
麻酔 | 一時的に神経機能を低下させて、痛みの感覚をはじめ知覚や意識を失わせること |
(大辞泉より)
特殊な場合を除き、内視鏡検査を全身麻酔で行うことはまずありません。全身麻酔ではたくさんの薬を使用し、呼吸も止まってしまうため、人工呼吸器で呼吸の管理をしなければいけません。
鎮静は点滴(静脈注射)で薬を投与します。完全に意識がなくなる全身麻酔と違い、眠くはなりますが呼びかけると目が覚める程度の意識レベルです。実際には、「眠ってしまっているか、もしくはボーっとした状態で気づけば検査が終わっていた」という方がほとんどです(個人差はありますが)。全身麻酔よりはるかに安全性が高く、ほとんどの方にとっては、検査を楽に受けていただくために非常に有効な方法です。
鎮静剤使用のメリット
検査を楽に受けることができる
当然ですが、これが鎮静剤を使用する最大かつ、患者さんが実感できる唯一のメリットです。不安や不快感を和らげる効果も期待できます。
よりしっかりとした観察をすることができる
特に鎮静剤を使用せずに胃カメラをした際に見られますが、苦痛で体動が激しくなったり、呼吸が荒くなることで、詳細な観察が困難になることがあります。
鎮静剤使用のデメリット
検査中に検査画面を見ることができない
検査をしながら画像を確認していただくことには大きな意味があります。「ここにこういう病気があったからこういう症状が出ているんだ」、「症状はあるけど心配になる病気は無いみたいだな」など、リアルタイムで分かることでご自分の状態がよく分かるようになります。そうすることで、治療もスムーズに進むことが多いと感じます。
検査終了後に安静が必要になる
薬の効果が切れるのには時間がかかります。そのため、検査終了後30分~1時間程度ストレッチャー上で休んでいただく必要があります。
当日の車、バイクなどの運転ができない
鎮静剤の効果が切れた後も体内には薬が残っています。そのため、自動車やバイクなどの運転をすることができません。
副作用が起こりうる
薬を使う以上、一定の割合でどうしても副作用が起こりえます。主な副作用には次のようなものがあります。
呼吸抑制、血圧低下、不整脈、吐き気 など
鎮静剤にはデメリットもありますが、適切に対処すれば決して怖いものではありません。最も避けなければいけないのは、検査がつらい(またはつらいというイメージが強い)ために、検査を受けないことにより病気の発見が遅れてしまうことです。検査に不安がある方は、積極的に鎮静剤を使用することをお勧めします。
(当院では経鼻内視鏡以外では積極的に鎮静剤を使用しています。お気軽にご相談ください)