おなかブログ
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あんどう消化器内科IBDクリニックのブログです。
シリーズ、『IBDクリニックのかかり方』、今回は、「一般の消化器内科からの転院」の場合を解説します。
一般消化器内科からの転院
近隣の消化器疾患を扱われているクリニックから移られるパターンです。炎症性腸疾患、特に潰瘍性大腸炎は非常に多い疾患ですので、消化器疾患専門の先生で一度も診たことがない方はほとんどいらっしゃらないと思います。また、大半の患者さんは内服薬などによる基本治療をしっかりすればコントロールが可能ですので、落ち着かれている方はぜひそのまま信頼されている主治医の先生にかかられることをお勧めします。基本治療を行っても改善が得られない場合や、遠方に転居することとなり転院が必要となった場合などにIBD専門クリニックへの紹介が検討されることになります。
IBDクリニックにかかるメリット
IBDクリニックにかかるデメリット(?)
メリットがあればデメリットもあると思いますが…、正直あまり思いつきません(いや、本当に🥺)。あえて言えば、『治療を”やりすぎ”てしまう可能性がある』という事でしょうか?IBDは残念ながら現時点では完治しない病気です。そのため現在の治療目標は、「完全寛解」ということになります。これは、「症状が落ち着いているのはもちろんの事、内視鏡検査でも粘膜が治癒しており、なおかつ生検組織でもほとんど炎症が見られない」状態を指します。この状態が達成できていれば、再び悪化する確率も低く、また慢性炎症に由来する癌の発生確率も低くなることが報告されています。IBD治療の経験が豊富な先生であれば、おそらくこの「完全寛解」を目標に治療されていると思います。非常に大切な考え方で、私自身もこれを目指した治療を行っていますが、あまりにもこの理想にこだわりすぎると、ある意味「やりすぎ」の治療になってしまいます。IBD治療の経験が豊富になればなるほど様々な可能性を考え、必要以上に「強すぎる」治療を選択してしまう、ということはあり得るかもしれません。
残念ながら炎症性腸疾患の治療には終わりがなく、長期にわたり医療機関と付き合う必要があります。繰り返しになりますが、もっとも大切なのは主治医やその病院との信頼関係が築けているかどうかどうかであり、それが出来ているのであれば、敢えて専門のクリニックにかかる必要はありません。メリットデメリットを考慮して、ご自分にとってのベストな選択をしていただければと思います。