おなかブログ
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あんどう消化器内科IBDクリニックのブログです。
当院はIBD(潰瘍性大腸炎、クローン病)を専門に診るクリニックではありますが、基本となるのは「町のおなかのお医者さん」であり、毎日のようにおなかの不調で困られている方が受診されます。それぞれ困られている内容は様々ですが、その原因は意外と共通していることが多く、処方する薬もある程度限られています(決してほかの薬を知らないわけではない)。
そこで、普段よく処方する薬についてまとめてみたいと思います。第1回目は、IBDの薬以外ではおそらく一番多く処方していると思われる、「大建中湯(だいけんちゅうとう)」を採り上げます(目指せ、シリーズ化! 😛 )。
大建中湯
名前からわかる通り、漢方薬に分類されるお薬です。大建中湯は日本で最もよく使われる漢方薬だそうです。漢方薬には番号がついており、大建中湯はちょうど100番にあたります。そのため、患者さんからもよく「100番のくすり」と言われます(あまり名前は憶えていない人が多い)。
「中」は体の中部にある消化管、つまり胃腸を表します。「大建」は、丈夫にするという意味であり、合わせて「胃腸を丈夫にする薬」という意味になります。何かすごくおなかに効きそうなネーミングですよね。
大建中湯の効能効果について、添付文書には以下のように書かれています。
効能又は効果
体力虚弱で腹が冷えて痛むものの次の諸症:下腹部痛、腹部膨満感
大建中湯の成分は、おなかを温める生薬(山椒と乾姜)、気を補う生薬(人参)、おなかの緊張を緩める生薬(膠飴)の4つから構成されており、すべて食べ物だけでできています。。味はピリッとします(生姜味なので)が甘く、飲みやすい漢方薬のひとつです。
比較的体力がない方で、おなかが冷えて痛み、腹部膨満感がある場合に用いられます。腸管の血流をよくしておなかを温め、胃腸の働きを活発にすることで症状を改善します。
漢方薬は長年の経験則から有効であるとされたものが使われていることが多く、なぜ効くのかがはっきりしないものも多いです。しかし、大建中湯は最も処方されている漢方薬だけあって、なぜ効果があるのかがかなり明らかにされており、安心して処方できる薬の一つです。何よりも、効く方には本当によく効きます。漢方薬はその方の体質(証といいます)に合わなければ効果が十分に発揮されないのですが、「冷え性でおなかが張りやすいです…」って方、いっぱいいらっしゃいますよね。私自身も、「絶対漢方薬はイヤっ」という方以外には積極的に処方しています。
余談ですが、腸管の血流をよくするという効果を期待して、クローン病の方にもよく使います(で、結構効きます 😀 )。
ご興味のある方は、一度かかりつけの先生にご相談ください(薬局でも売ってます)。
きっと忘れたころに第2回をアップする…はず 🙁