おなかブログ
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明石にある「あんどう消化器内科IBDクリニック」のブログです。
新型コロナウイルスワクチン接種の話題が連日マスコミをにぎわしています。海外では先行して接種が始まっていますが、「激しい副作用があった」など、不安にさせるような情報もありますよね。当院には潰瘍性大腸炎やクローン病などのIBD患者さんが大勢通院されていますが、「ワクチンは打った方がいいですか?」という質問もちらほら聞くようになってきました。
厚生労働省のホームページによると、接種の対象と接種順位は以下の様に記載されています。
(1)医療従事者等
(2)高齢者(令和3年度中に65歳に達する、昭和32年4月1日以前に生まれた方)
(3)高齢者以外で基礎疾患を有する方や高齢者施設等で従事されている方
(4)それ以外の方
ここで気になるのが「基礎疾患を有する方」にIBDが入るかどうかです。同じく厚生労働省の検討案によると、
1. 以下の病気や状態の方で、通院/入院している方
1. 慢性の呼吸器の病気
2. 慢性の心臓病(高血圧を含む。)
3. 慢性の腎臓病
4. 慢性の肝臓病(ただし、脂肪肝や慢性肝炎を除く。)
5. インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病又は他の病気を併発している糖尿病
6. 血液の病気(ただし、鉄欠乏性貧血を除く。)
7. 免疫の機能が低下する病気(治療中の悪性腫瘍を含む。)
8. ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている
9. 免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患
10. 神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態(呼吸障害等)
11. 染色体異常
12. 重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態)
13. 睡眠時無呼吸症候群
2. 基準(BMI 30以上)を満たす肥満の方
この中でIBD患者さんに関係するのは8の「ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている」のみです。この“ステロイドなど”にはステロイド剤であるプレドニゾロンの他に、免疫調整剤であるイムランやレミケードなどの生物学的製剤も含まれるものと思われます。つまり、「受けている治療によっては対象になりうるが、潰瘍性大腸炎やクローン病だからといって対象になるわけではない」ということになります(基本的には、(4)のそれ以外の方になるということですね)。
※ただし、参考として「基礎疾患の範囲を限定せず、単に慢性の病気や疾患とした場合」についても言及されており、まだ確定ではないようです。
IBD患者さんは優先接種の対象ではないようですが、裏を返せば「潰瘍性大腸炎、クローン病の方はそんなに焦って接種しなくても大丈夫ですよ」ということかもしれません(前向きに解釈すれば、ですが…)
これらを踏まえて、次回はIBD患者さんからの「ワクチンは打ったほうがよいですか?」という質問にお答えしたいと思います。