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大腸カメラ、生き残れるか?

 

あんどう消化器内科IBDクリニックのブログです。

 

 最近話題の対話型AI「Claude」に、今まで書いたブログの傾向や課題なんかを分析してもらった結果、「内視鏡関係の記事が少ない」と指摘されてしまいました…内視鏡クリニックなのに

 

 というわけで、今回は久しぶりに内視鏡についてのお話しです。

 

 

      こんな感じになるかも

 


 

 最近、ちょっと興味深い論文報告を見つけました。

 

「Goodbye colonoscopy? New stool test detects 90% of colorectal cancers」

Trickovic M, et al. Machine learning-based subspecies-level gut microbiota analysis enables colorectal cancer detection.
*Cell Host & Microbe*, 2025. DOI: 10.1016/j.chom.2025.07.015

 

 そのまま訳すと、「大腸カメラよ、さようなら?新しい便検査で大腸がんの90%を検出」...なかなか刺激的な見出しです。うちのクリニックにとっても死活問題になりかねません(大げさ)。ざっくり言うと、「便を調べるだけで、大腸がんの90%が見つかる検査を開発した」という内容です。

 

ーどんな研究なの?ー

 スイスのジュネーブ大学の研究チームが、2025年9月に医学誌「Cell Host & Microbe」に発表した研究です。腸の中には、数百種類もの細菌(腸内細菌)が住んでいます。これまでも「腸内細菌と大腸がんは関係がある」ということは分かっていたのですが、同じ種類の細菌でも、株(もっと細かいグループ)によってがんを促進するものとそうでないものが混在していて、臨床へ応用することが困難でした。
 この研究チームは、腸内細菌を「種」のレベルより細かい「亜種」レベルで初めて網羅的に分類し、そのデータをAIに学習させました(また出た😑)。その結果、便のサンプルを解析するだけで、大腸がんを90%の精度で検出することに成功した——というのが、この研究のポイントです。

 ちなみに現在の大腸カメラによる検出率は約94%。今回の検査はそれに迫る数字であり、現在ある他の非侵襲的な検査(便潜血検査など)の検出率が70〜80%程度であることを考えると、大きな前進です。

 研究者たちは「この技術が普及すれば、まず便検査でスクリーニングを行い、陽性だった人だけに大腸カメラを受けてもらう、という流れに変わるかもしれない」と述べています。

 

 この検査はまだ臨床応用の段階には至っていません。現在は研究レベルの話で、実際に診療で使えるようになるまでには、大規模な臨床試験の積み重ねが必要です。数年、あるいはもっとかかるかもしれません。

 また、この技術が仮に普及したとしても、「便検査で陽性→大腸カメラで確認」という流れになるであろうことは、研究者自身も言っています。つまり大腸カメラが不要になるわけではなく、出番が少し減るかもしれない、というイメージです(それはそれでうちとしては困るんですけどね🥺)

 


 

 真面目な話、大腸カメラは将来的には減っていく検査だろうとは思っています。検査というものは本来客観的なもので、誰が受けても同じような結果が得られなければいけないはずです。反面、大腸カメラは術者の「技術」や「観察の丁寧さ」で結果が大きく変わってしまいます。また、検査の苦痛も然りです。「皆が受けるべき検査」としては正直不十分と言わざるを得ません。AI等により将来的には検査そのものが無くなっていくのが理想かもしれません。

 

 

 とはいえ、あくまで将来的な話です。現時点で大腸カメラには、他の検査には代えられない大きな強みがあります。

・ポリープをその場で取れる
 大腸がんの多くは、「腺腫性ポリープ」というできものが長い年月をかけてがん化したものです。大腸カメラはがんを「見つける」だけでなく、前がん病変であるポリープをその場で切除できる唯一の検査です。見つけてから別の日に——ではなく、発見と治療が同時にできる。これは便検査にはできないことです。

・がん以外の病気も分かる
 大腸カメラでは、大腸がん・ポリープだけでなく、潰瘍性大腸炎・クローン病・虚血性腸炎・感染性腸炎など、さまざまな腸の病気を見つけることができます。「血便がある」「お腹が痛い」「下痢が続く」といった症状の原因を調べるには、やはり直接見ることが一番です。

・「直接観た」という安心感
 私自身が検査を受けて思ったのですが、「大腸そのものを直接観てもらった」というのは大きな安心感につながります。胃カメラもそうですが、他の臓器(例えば肺や膵臓、子宮など)で直接くまなく観るというのは、現時点では物理的に不可能です。大腸は他と比べても様々な病気が発生しやすい臓器ですが、それを比較的少ない侵襲で観察できるというのは大きな強みです。

 

 

「それでも怖い」という方へ (まぁ、宣伝です😉)

「大腸カメラは怖い・つらいというイメージがある」という方、多いと思います。以前そういう経験をされた方もいるかもしれません。

当院では、鎮静剤(静脈麻酔)をしっかり使った検査を行っています。ウトウトした状態で受けていただくことで、「いつの間に終わってたの?」という感想をいただくことも多いです。

 また、私自身が「丁寧に、時間をかけて見る」ことを大切にしています。効率よりも丁寧さを優先する——これが当院のスタンスです。受付・看護師・スタッフも、患者さんが安心して過ごせるよう声かけや雰囲気づくりを心がけています。「スタッフが丁寧で安心できた」というお声をいただくことが、何よりの励みです。

 

ー未来の技術に期待しつつ、今できることをー

 AI便検査の研究は、本当に素晴らしい進歩だと思います。「検査が怖くてずっと受けられなかった」という方が、将来スクリーニングを受けやすくなるかもしれない——そういう意味で、大腸がんの死亡率を下げることにつながる可能性を秘めた技術です。

 でも、今この瞬間に「大腸が心配」「血便がある」「何年も検査を受けていない」という方に対して、今できる最善の方法は、やはり大腸カメラです。

 「そのうち便検査でできるようになるから、それまで待とう」ではなく、今の技術で、今の自分のお腹を診てもらうことが大切です。

 

 気になることがあれば、ぜひ一度ご相談ください🤗

 

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