おなかブログ
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あんどう消化器内科IBDクリニックのブログです。
今月に入り急に寒くなってきましたね。先週末あたり、道に大量の落ち葉が積もっているのをよく見かけました。まるで街路樹が、「冬が来たので大急ぎで秋を終わらせましたっ😆!!」と言っていたような…。皆さん、体調には十分お気を付けください。
シリーズ「IBDクリニックのかかり方」、今回は大学の附属病院や地域の中核病院のような、「大規模病院からの転院」についてです。
大学病院や総合病院からの転院
IBD患者さんの数は非常に増えてはいますが、やはり特殊な病気ではあります。そのため、当初は大学病院や総合病院などで治療を始められることが多いと思います。病状が落ち着いたり、仕事や学校の都合で通院が難しくなった場合、遠方から転居される場合などに、転院先としてIBDクリニックが選ばれることがあります。
大学病院や総合病院のメリット
・いざというときの「安心感」
なんといっても「そこですべて見てもらえる」という安心感があります。腹痛や発熱、大量下血など、潰瘍性大腸炎・クローン病の経過中には色々なことが起こり得ます。時には通院治療では改善しないほど悪化が見られることもあります。また、特にクローン病の方で多いのが、腸が狭くなっているために起こる腸閉塞により、緊急で病院を受診する必要に迫られることもあります。病院であれば夜間や休日も含めて対応が可能です。また、IBDを診たことがある先生(必ずしも専門の、ということではありませんが)が複数人いることが多く、緊急時には何らかの対応をしてもらえる可能性が高いと思われます。
・すべて1か所で完結できる
IBDの検査の中心は内視鏡検査ですが、複雑な病態を評価するためにはCTやMRIなどが必要になることがあります。クローン病の方であれば、必要に応じて小腸内視鏡を受ける必要もあるかもしれません。これらは基本的にはある程度の規模の病院でしか対応ができません。大学病院や総合病院であれば、すべてを同一の施設で行うことができ、非常にスムーズです(ですので、病歴が長く、病態が複雑なクローン病の方は病院で加療されたほうが良い…、かもしれません)。
・チームでサポートをしてもらえる
IBDは治療が長期にわたるため、経過中に様々な疑問や不安、問題点が持ち上がることがあります。治療のことはもちろん主治医と相談ということになりますが、それ以外の、例えば食事の問題や、就学や就職の問題、治療費の問題など、治療からそれた問題(これらも非常に重要なのですが)に十分こたえられる先生は、残念ながら多くありません(…自分もです)。また、限られた診察時間内ですべてを解決することは実際難しいでしょう。病院であれば看護師や薬剤師、栄養士の先生などの他、医療ソーシャルワーカーといったそれぞれの専門家がいますので、必要に応じてサポートに応じてもらうことができます(スムーズにできるかどうかは・・・まぁ、病院によります😉)。
大学病院や総合病院のデメリット
・待ち時間が非常に長い
病院受診をした際の流れは大体以下のような感じです。
①受付後採血室へ移動 ②他の疾患の患者さんに交じって順番待ち(朝一番など、混んでいるときは30分以上まつことも) ③診察室前で採血結果がでるまで待機(この間だいたい2時間前後) ④主治医の診察(3分診療…かどうかは先生次第) ⑤レミケードなどの点滴治療がある方は点滴室(化学療法室)へ移動 ⑥ベッドが空いたところで点滴開始(1~3時間程度) ⑦治療終了後、問題がなければ会計へ ⑧処方箋を受け取って調剤薬局へ移動 ⑨薬局で薬を受け取って帰宅(IBDの処方は複雑なことが多く、ここでもある程度待ち時間あり)
これ以外に、追加の採血や他の検査があるときはさらに長くなりますので、本当に「1日仕事」になります。
・アクセスがしづらい
これには、『受診がしづらい』という意味と『連絡が取りづらい』、という意味があります。前者は自宅から遠方であるといった「距離」の問題と、受診は基本的に平日の午前中という「時間」の問題です。後者にも2つの問題があります。例えば皆さんのなかで、「最近ちょっと下血が多いな」など、”それほど困ってはいないけど何となく不安”といったとき、「これぐらいのことで電話するのもな…」と、連絡を躊躇されたことがある方はいないでしょうか?また、連絡したとしても、なかなか主治医までは伝わらない、といった経験がある方もいらっしゃるかもしれません。この『連絡がしづらい』には、システム的に連絡が取りにくいという事だけではなく、心理的なハードルによるものも含まれます。大きな病院の場合、受診間隔が2か月から3か月ごとという場合が多いですから、結局その間は我慢してしまう、ということもあり得ます(で、「なんでこんなになるまでほっておいたんですか!」って怒られたりする😫)
IBDクリニックにおいてはこのメリットとデメリットが逆転すると思っていただいてよいと思います。つまり、「アクセスがしやすい」、「待ち時間が(病院よりは)短い」、「検査のために他の病院にかかる必要がある」、「緊急時の対応に不安が残る」といった点です。それぞれのメリットデメリットをよく考えて受診する必要があります。
IBDの治療は長期にわたるため、途中で医療機関を変わらざるを得ないということは多々あります。治療先を選ぶ際に、今回の記事が参考になれば幸いです。
もちろん、「信頼できる先生に診てもらう」ということが大前提ですよ🤗