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ふわっと漢方

 

あんどう消化器内科IBDクリニックのブログです。

 

 以前のブログで、ニッキー・ホプキンズという、ロックの歴史に輝かしい功績を残しながらクローン病で若くして亡くなったピアニストについて書きました(ブログ:『夢見る人』)。現在、彼の人生を描いたドキュメンタリー映画が(まさかの 😯 公開中です。ご興味のある方はご覧いただければと思います(内容的にはかなりマニアックで、どなたにもお勧めという訳ではないのですが・・・)

 

『セッションマン ニッキー・ホプキンズ ローリング・ストーンズに愛された男』オフィシャルサイト

 

 


 

 

 勤務医時代と比べて、現在も診療スタイルはほとんど変えていません(のつもりです)。ただ、大きな変化として、漢方薬の使用頻度が格段に上がったことが挙げられます。最近では漢方薬での治療を期待されてわざわざ受診していただく方もいらっしゃいます。大変ありがたいのですが、私自身は漢方の専門ではまったくありませんし、漢方薬での治療にこだわっているわけでもありません。もともと便秘治療などで漢方薬は使っていましたが、あくまで症状を治すための一つの手段としての使用でした。ただ、そのようなある意味適当な(?)処方でも、時々非常に”はまる”ことがあり、漢方薬による治療は非常に有効であるという印象は持っていました。開業してから多く使うようになったのは、シンプルに「必要だから」という理由です。クリニックには様々な症状を抱えた方に来られますが、中には複数の症状が同時に表れている方もいます。もちろん、違う病気が同時にあるという可能性もありますが、通常は全身の不調が複数の症状として表れていると考えたほうが自然です。そのようなときは全身の不調の改善を目指すことができる漢方薬が有効なことがあります。

 

 

こんな感じ・・・ではない

 

 

 漢方薬の特徴をよく表わしている言葉として、「同病異治」「異病同治」というのがあります。前者は「同じ病気でも、違う治し方をする」という意味、後者は「異なる病気や症状に対して、同じ治療を行う」という意味です。通常よく使われている薬(「漢方薬」の対義語として「西洋薬」と言われます)は、当然ですが診断がついた病気や今ある症状の改善を期待して処方されます(高血圧に降圧剤、頭痛に鎮痛剤など)。そのため、同じ病気や同じ症状に対してはある程度決まった薬が処方されることになります。それに対して漢方薬の本来の使い方は、東洋医学独特の診察法にのっとって体のバランスの乱れを診断し(証(しょう)といいます)、体質の改善をめざします。体質改善の結果として症状の改善が得られるという訳です。

 

 ただ、この「証」の診断がなかなか厄介なんです。陰陽虚実を判断し、望診・聞診・問診・切診を用いて「証」を予想(・・・書いている本人もあまり分かっていません)、証にあっていると思われる処方を考え(随証治療といいます)、実際の反応をみながら調整を繰り返す、という治療になります。有効な方法なのは間違いないのですが、実際の診察の場面で実践するのはなかなか困難です(というか、もともとできない)。

 

 ただ、通常の診察でもこの漢方薬が合うかもなというのはある程度は予想できます。「証」はおおざっぱにとらえれば「体質」と言い換えることが出来ます(たぶん…)。「むくみやすい」「おなかが張る」「すぐに風邪をひく」「冷え性である」など、診察の中で得られた情報から、ふわっと「体質」を予想してどの薬が合うかを考えます(ちなみに、漢方薬は女性のほうが効きやすい印象がありますが、これはおそらく「女性のほうが体質を予想しやすい」というのも理由の一つです)。

 

 漢方専門の先生であれば漢方薬のみでの治療を検討されると思いますし、体質改善や未病(まだ発病はしてはいないが、健康な状態から遠のきつつある状態)へのアプローチを考えたらその方が理想的です。実際、先ほど述べた「証」にぴたりとあう処方が選択できれば、びっくりするほど効果があった、ということも良く経験します。

 

 ただ、私自身そこまで漢方治療に精通しているわけではありませんので、「飲んでみたけど全く変化はなかった」ということも多々あります。また、明らかに症状の原因が予測出来たり、病名が分かっている場合は当然そちらの薬(いわゆる西洋薬)を優先して使用しています。その際、必要があれば漢方薬をサポートとして使用して、効果を実感していただければ、場合によっては漢方薬のみでの治療も検討する、といった具合です。

 

 最近、漢方薬の持つ安心感(必ずしも副作用がないわけではありませんが)も相まってか、漢方薬を希望されている方が増えているように感じます。今後も、「有効な治療手段のひとつ」として、他の薬と同様に活用していければと思います。

 

 

 

 ・・・なので、なるべく最初から、「漢方薬で治してください!」って言わないでくださいね😅

 

 


 

 

今回の曲は冒頭に紹介したニッキー・ホプキンスの曲です。

 

Pig’s Boogie : Nicky Hopkins

 

 1973年に発売されたソロアルバム、『 The Tin Man Was a Dreamer(邦題:夢見る人)』に収録されたブギナンバー。彼の幅広い音楽性がよくわかる一曲です。

 

 

You Are So Beautiful  : Joe Cocker

 

こちらは1974年にリリースされたジョー・コッカーのアルバム「 I Can Stand a Little Rain」に収録されているバラードナンバーです。シンプルな歌詞にニッキー・ホプキンスのリリカルなピアノがぐっとくる一曲です。

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