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背に腹はかえられない・・・?

 5月20日、脊髄性筋萎縮症という遺伝性難病の治療薬として「ゾルゲンスマ」という薬が薬価収載され、保険適応となりました。その値段、なんと1億6707万7222円(!!)です。初の「億超え新薬」ゾルゲンスマの薬価はどう決まったか本庶佑京都大学名誉教授のノーベル賞受賞で話題になった、免疫チェックポイント阻害剤であるオプジーボ(当初の年間薬価 約3,800万円)や、白血病の治療薬であるキムリア(1回の投与で約3,350万円)など、近年は治療薬の高額化がしばしば話題になります。色々な理由がありますが、くすり自体が複雑になり開発に莫大なコストがかかることや、そもそもその薬の対象となる患者さんの数が少なく、需要と供給のバランスからどうしても高額にせざるを得ないなどの理由が挙げられます。

 

 潰瘍性大腸炎、クローン病などのIBD(炎症性腸疾患)が希少疾患なのかどうかは議論が分かれるところではありますが、病態が複雑な疾患であることは間違いありません。近年、病態の解明が進み、それに合わせて様々な治療薬が登場してきています。治療薬が増えることは大変喜ばしいことですが、当然少々お高い薬ばかりです。

 

 体重50㎏の方が標準的な使用で1年間治療した時の薬価を計算してみました。

薬剤 投与方法 単価 1年間でかかる薬価
レミケード 点滴注射 75,009円 (100mg1瓶) 1,800,216‬円
ヒュミラ 皮下注射 62,620円 (40mg0.4mL1キット) 1,753,360‬円
シンポニー 皮下注射 119,709円 (50mg0.5mL1キット) 2,035,053円
ステラーラ 皮下注射※ 381,818円 (45mg0.5mL1筒) 3,440,790円
エンタイビオ 点滴注射 279,573円 (300mg1瓶) 2,236,584円
ゼルヤンツ 内服 2,660円 (5mg1錠) 2,239,720円

 ※ 初回のみ点滴注射 193,123円 (130mg26mL1瓶)

 

 ・・・いずれもなかなかのお値段です(車買えます)。あくまで標準的な使用法での値段ですから、患者さんの状態によってはこれ以上になることもあります。

 幸い、潰瘍性大腸炎、クローン病は「特定疾患」に指定されており、患者さんご自身が負担する額には上限がありますので、「治療費が高すぎて治療が受けられない…」という事態はほぼ避けることができますので、投与が必要な方は遠慮なく(?)積極的に治療を受けていただければと思います。むしろ、治療する側が、不必要に強すぎる(高すぎる)治療をしないように注意する必要がありそうですね。

今の治療が本当に必要なのか」、その都度担当の先生と相談してみるのも悪くないかもしれませんよ(もちろん、お金だけできめるものではないですけど(^^;)

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