おなかブログ
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あんどう消化器内科IBDクリニックのブログです。
当院は「おなかのお医者さん」ですので、様々なおなかのトラブルを抱えた方々が来られます。腹痛や便秘、下痢などは比較的わかりやすい症状ですが、「おなかの音が気になる」「便秘ではないけどいつもおなかが張っている」「おならがやたらと出て困っている」「おならが臭い」「何となくすっきりしない」など、病気とは言えないものの、日常生活には支障があるような訴えをよく耳にします。これらの症状は原因がはっきりしないため、色々治療を試みるもののなかなかうまくいかない症状でもあります。このような場合の原因の一つとして、「腸内環境の悪化」があるのかもしれません。
腸内環境とは
非常にシンプルに言えば、「腸内に生息している細菌のバランス」のことです。腸内には約100兆個の細菌が生息していると言われていますが、その中のいわゆる善玉菌、悪玉菌、日和見菌の割合の違いにより腸内環境の良し悪しが決まってきます。食生活はその環境をつくる要素としてもちろん大切ですが、それ以外にも性別、民族地域の違い、妊娠・出産時の母子環境、幼少時のストレスなど様々な要因が複雑に影響しあっていることが分かっています。
腸内に棲んでいる無数の細菌群を「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」と言います。腸内細菌はその菌種ごとが塊となって腸の壁に隙間なくびっしりと張り付いています。この状態は、品種ごとに並んで咲くお花畑(flora)にみえることから「腸内フローラ」と呼ばれます。
腸内環境の悪化がおなかの不調と関連があることはイメージしやすいのではないかと思いますが、最近の研究では、それ以外にも実に様々な疾患との関連が指摘されています。
腸内環境と関係があることが分かっている消化器疾患
・便秘、下痢、過敏性腸症候群、機能性ディスペプシア、潰瘍性大腸炎、クローン病、食道がん、胃がん、大腸がん、脂肪肝、肝臓がん、すい臓がん など
腸内環境と関係があることが分かっているその他の疾患
・アレルギー疾患、関節リウマチ、糖尿病、肥満症、骨粗しょう症、パーキンソン病、うつ病、慢性腎臓病、高血圧、脳卒中、慢性疲労症候群 など
その他、様々な疾患で腸内環境との関連が研究、報告されています。「21世紀は腸の時代」とも言われており、非常に研究が盛んな分野です。今後の研究次第ですが、ほぼすべての疾患に腸内環境が密接にかかわっていると言われることになるかもしれません。
そうなると当然、腸内環境を整えれば病気になりにくいということになります。この考えは比較的浸透していると思いますが、特に「腸活」という言葉が使われだした2010年代後半からは一種のブームの様になっています(やはりわかりやすいキャッチフレーズは大事ですね 😛 )。
”おなかの専門クリニック”を名乗っている以上、以前から腸内環境と疾患との関係には興味がありましたし、実際、診察の時に「腸内フローラって調べられますか?」と聞かれた事もあります(皆さん勉強熱心なのでたまに焦ります 😳 )。検索すると「腸内フローラ調べます!!」みたいなページもたくさん見つかりますし、大手販売サイトでも、「自分でできる腸内フローラ検査キット」みたいなのもいくつか出てきます。また、人間ドックなどのオプション検査として扱っている施設も多数あります。値段もピンキリであり、どれが最も有用なのか、なかなか判断ができずにいました。
この度、「これは良いかも…」と思える検査キットを見つけましたので、近日中に当院で採用したいと考えています(9月25日より開始しました!!)。詳細は運用を開始した際にお伝えしたいと思いますが、このキットを採用しようと思ったのは以下の点が優れているからです。
検査を扱っている施設なども検索しましたが、意外とおなかの病院(消化器内科や胃腸科)で扱っているところが少ないな、と思ったのも導入を決めた一つの要因です。
もちろん自費での検査となりますし、実際の診療にどこまで役に立つかはこれから使ってみなけれは分からない部分も多々あると思います。ですが、おそらく今後の医療において大きな役割をもつ分野になることは間違いないと思います。ご興味がある方は、ぜひご気楽にご相談ください。