おなかブログ
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あんどう消化器内科IBDクリニックのブログです。
去る7月19日、あかし保健所相談支援課さん主催で「令和7年度 潰瘍性大腸炎・クローン病患者家族交流会」が行われました。昨年に続いての開催でしたが、今回も非常に盛会かつ有意義なものとなったと思います。当日の詳細につきお伝えします。
当日の明石市の最高気温は32.4度、その後の猛暑を思えばまだまだ暑さの入り口ぐらいだったわけですが、その時は「よりによってこんな暑い日になって…」と、快晴を恨めしく思っていたことはよく覚えています。初回と同様、交流会は前半の講和と、後半の患者さん同士の交流会で構成されていました。前半(のさらに前半)の講和を仰せつかっていたこともあり、会場であるあかし保健所にはかなり早めに到着しましたが、すでに参加者の方がちらほらいらっしゃっていました。内心、(「暑い中すいません… 😥 」)とも思っていたのですが、開始時間には当日参加の方も含め、30人を超える方に集まっていただけました。
まず講和1として小生が、『「 病院との上手な付き合い方 」~いつも忙しそうにしているあの先生は診察の時に何を考えているのか~』というテーマで話をさせてもらいました(いつもサブタイトルが長くなるのは悪い癖です)。皆さんも経験があるのではないかと思うのですが、いざ診察になったとき、主治医に何を伝えたらよいか分からなくなることはないでしょうか?そんな時、医者が何を聞きたいと思っているかを知ってもらえたら、上手に診察を受けるヒントになるのではないかと思い、このテーマを選びました。後で頂いたアンケート結果を読ませていただくと、それなりにお役に立てたようでちょっとほっとしています。
講和2は医療法人錦秀会 インフュージョンクリニックの公認心理士 吉田愛先生に、『「 心のセルフケア 」~ストレスや不安との向き合い方を学ぶ~』というテーマでお話をしていただきました。吉田愛先生は、炎症性腸疾患専門クリニックの先駆けであるインフュージョンクリニックで2013年から専任カウンセラーとして勤務されており、日本では非常に珍しい、「IBDに精通した公認心理士」さんです。一般的にはあまりなじみのない、心理カウンセリングとはどういうものかという点から始まり、自分自身が気付かなかった「わたし」と出会い、その「わたし」とうまく付き合うことで、身体の不調や悩んでいた問題への解決につなげていくというお話は、多くの方が納得されるところであったというのは、やはりアンケート結果からもよく分かりました。
後半のパートは参加者さん同士グループに分かれてのフリートークです。前回は話が盛り上がるグループもあれば、ある程度リードしなければ会話が続かないグループ、お一人の方の話をただ聞くだけのグループなど、やや課題を感じたセクションではありました。そんな反省があったのか、今回は相談支援課の皆さんの絶妙なグループ分けにより、どのテーブルも非常に盛り上がっていたことが印象的でした(後半、ほとんど何もしていません 😆 )。当事者でなければ話せない(分かってもらえない)ことがたくさんあるのだと、改めて教えていただきました。
以下、頂いたアンケート結果です。長くなりますが、貴重なご意見ですのでほぼ全文掲載させていただきます(括弧内は筆者の心の声です)。
Q.交流会に参加しようと思われた理由について
・ストレスをためやすく、それが体調となって現れやすい。精神面でも不安定になる悪循環をどうにかしたい。
・同じ立場の方々と会う事で、私も子どもも色んな意見を取り入れる事ができると思った。
・お母さんに教えてもらった。
・息子が患っているため、より良い方向に力になれるよう勉強したいと思った。
・他の患者さんの思いなど近況が知りたかった。
・他の患者さんはどのように仕事、食事等気をつけているのか知りたかった。
・昨年、本人が参加して好評だったため。
Q.講話1「病院との上手な付き合い方」の内容について
・ぼくの主治医の先生と仲良しです。(うん、たぶん仲良しです)
・不安に思っていたことがありましたが、どこまで診察時に話していいものかと思っていました。お話を聞いて、うまく医師と付き合っていきたいです。
・やさしい表現でお話されていたので、分かりやすかった。
・毎日お腹の調子を聞いてあげることが良いと思っていた。
・いつも医者が何を聞き出したいのか不明瞭で、診察に不安があるので、今回のお話が非常に参考になりました。また、最近の薬事情や医者の立場を教えていただき非常に有り難かったです。医者にもわからないことがあると、なかなか伝えてくれない医者もたくさんいるのに、安藤先生はハッキリ伝えてくださり、信頼できる方だなと思いました。(いえいえ 😳 )今日の内容を今後の生活や治療、診察に活かしたいと思います。ありがとうございました。(恐縮です 😥 )
・患者にとって病院の先生との付き合い方はすごく大事で、自分のことを考えてくれているのか心配になることはよくあった。先生側の気持ちが聞けたのは良かった。
・お医者さん側目線の話が聞けて勉強になった。担当医とのコミュニケーションが重要だと改めて感じた。
Q.講話2「心のセルフケア」の内容について
・一度カウンセリングを受けてみたいと思った。
・不安なことがなくて楽しく過ごしています。(それは何よりですね)
・本人ではないのでどのように接していくのが良いのか心配でしたが、なるほどと思うことが多く参考にさせていただきたいです。
・自分の感情に気づくことの大切さが分かりました。
・カラーなど心の状態を知るため、参考になりました。(意外なことに、私は赤でした)
・我が家の体験で頷くことがあった。他の患者さんの思いも参考になった。
・家族のものです。潰瘍性大腸炎患者がどのような傾向の悩みがあるかについて、心理的側面は非常に参考になりました。今回のお話で知らない情報も多くあり、勉強になりました。身体的側面が不安定なだけに、心理的側面まで向き合うことがまだ出来ていなかったのですが、注力してみなくてはと思いました。chat GTP は家族の私もよく使用しており、有効感に同意です。また、個人的にカラーセラピーや夢について興味があったので、興味深く拝聴させていただきました。ありがとうございました。
・心療内科受けたほうがいいかなと思った。
・症状がある時不安からイライラしがちで、症状とメンタルが連動するという話は実体験とも合っていた。症状をしっかり抑えることが重要と感じた。
Q.交流会の時間について
・いろいろな話が聞けて良かったです。私より経過年数が長い方もたくさんいるようでよかったです。
・色んなことが分かった。
・集中して聞けました。
・1つのグループで話をするには充分な時間があると思います。参加時の同グループの方は皆さん親切で良い人でした。ただ、普段 IBD 患者や家族と接触することがないため、貴重な機会にとにかく他の方がどのような考えや生活をしているか気になっており、欲張りになってしまいます。おそらく、次回の開催があるか分からないという不安が大きいからだと思います。(だそうです。相談支援課の皆さん、よろしくお願いしますね 😛 )
Q.交流会の感想について
・当事者が話し合えるのが良かった。色んな人の話が聞けた。参考になった。
・クローン病でも個人差があって症状が一人一人違うことが分かった。
・申込みでコメント質問させていただいていた事を丁寧に答えてくださって、内容に安心しました。
・同病同士で意見交換できて良かった。良いグループで話が弾み楽しかった。
・自分の生活をまた見直してみようと思いました。
・本人と家族を混ぜて多面的に話ができるようにと配慮してくださったのかと思います。なかなか聞けない当事者目線での貴重な話や同感ですとなる家族目線なのを共有できて良かったです。ただ、特定の話で交流したい!…例えば仕事面だけ、みたいな方だと、年齢や境遇等によって満足度が変化するのかなと思いました。また、参加者の方でこの病気は個体差が大きいと感じるとお話しされる方が複数いました。個体差でグループ分けするなどもいいのかなと、感じました。・交流会のメンバーチェンジの時間が欲しかった。患者本人の意見が聞きたかった。
Q.今後の患者家族交流会の開催について
・周りに同じ病気の方がいらっしゃらず、考え込んでしまうこともありますので、新しい知識や他の方の関わりができて良いと思います。
・絶対参加したいです。ネットでは信憑性や信頼感に欠けます。公的機関でしっかりした専門の方を選定して招いてお話が聞ける機会…しかもリアルで…そうそう無いです。地域の話をする場合もあるので、リアルがしっかりあることがとても大事です。もちろん、オフラインでも発信してオンライン参加者同士でグループ分けも有意義だと思います。若い世代が来てないことや交流会に参加しないことがとても気になりました。(同感です)参加しない、来られない理由は多種多様あると思いますが、悩んでいることがあると思います。今回はこういう悩みの共有やこんな質問等があり、参加者で話し合いをしたよとか、こんな感想があったよ、こんな年代の人や家族がきていたよ、みたいなアピールは可能でしょうか?参加者のプライバシーがあるため難しい面はあるかもしれませんが、参加に迷っている方の背中を押してあげられればなと思います。明石市以外の方でも参加したいと感じる方とても多いと思います。ぜひとも今後もやってほしいです。患者や家族にとって素晴らしいことをなさっていると思います。もっと全国にアピールしても良いと思います。(お~)
Q.今後の患者家族会開催への要望や希望する内容・テーマ等について
・食事について。寛解を長く保つには。体力面について。ぜひまた参加したいです。
・エレンタールどれくらい食べていれば大丈夫か。
・新薬が出ているかなど(新しい情報を得るため)。その時々の先生のお話を聞き、心の支えにしたいです。(病気があるために不安が大きいので)
・活動期と寛解期の時の生活について。
・講話がとても勉強になった。講話のみの zoom セミナーなどでも参加したい人はたくさんいるのではと感じた。
・毎年更新される新しい情報は、医療機関に通院していてもなかなか知り得る情報ではありません。ネットの情報をどこまで信じていいのか分からない事が多いです。実際に経験談など聞けて良かったです。グループに分けてもらうのも助かりますが、色々な話をお聞きしてみたいなと思いました。
・食事→なにを食べていいとか、栄養面、医学面
仕事→医学、就労、両立支援、心理
心理面→患者の傾向、セルフケア
最新情報→医療、薬、診療、法律等
病気→重症~寛解期の各違い、生活面
物事にはいろいろな側面があり、同じものを見ていてもそれぞれの立場で見え方が変わってきます。IBDに限らずですが、「病気」という物事に対しても、本人や当事者、社会、医療者でそれぞれ見方が違って当然です。私自身IBDを診るようになってずいぶん経ち、病気のことをよくわかった気ではいますが、それも「病気」という事実の一部を見ているにすぎないと実感しています。そんな中で、実際の患者さんやそのご家族の声を聴くことができる機会は本当に貴重です。少しでも興味を持たれた方は、次回ぜひ気楽に参加してみてください。
ということで、あかし保健所相談支援課の皆様、次回もよろしくお願いしますね(手伝います) 😛 。