おなかブログ
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あんどう消化器内科IBDクリニックのブログです。
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
昨年は元日からの地震や飛行機事故など「嘘やろ…😖?」と思うぐらい暗いスタートでしたね。それと比べると、今年は比較的穏やかな年明けだったかなと思います(それが当たり前なんですが😅)。このまま何もなく…、とはいかないと思いますが、できる限り平穏な年になるように祈っています。
インフルエンザ、流行っていますね😷。1医療機関あたりの患者数は全国平均で64.39人と現在の方法で統計を始めてから最多となっているそうです(1月13日現在)。当院は消化器疾患に特化している関係上、インフルエンザにかかられた方の治療は積極的には行っていないのですが、それでも「家族からうつって年末年始寝込んでました🤧」という方々が多くいらっしゃいます。引き続き基本的な感染対策をお願いします。
ウイルスと言えば・・・
インフルエンザはインフルエンザウイルスによって発症しますが、潰瘍性大腸炎やクローン病などIBDの患者さんにとって、ウイルスに関連する重要な疾患に、「帯状疱疹」があります。帯状疱疹とは水痘(水ぼうそう)と同じウイルスを原因として発症する疾患です。ウイルスに感染すると、最初は水痘として発症し治癒をしますが、その後もウイルスは生涯にわたって体内に潜伏します。普段は悪さをすることはありませんが、ストレスや疲れ、免疫機能の低下などに伴い体内に潜んでいたウイルスが再活性化すると、帯状疱疹を発症します。初期症状は、皮膚の痛みや違和感・かゆみですが、時間がたつとピリピリと刺すような痛みとなり、夜も眠れないほど激しくなる場合があります。皮膚症状が治まったあとも一部は強い痛みだけが残る”帯状疱疹後神経痛(PHN)”が発症することもあり、患者さんの生活の質を大きく落とすことになります。
IBDと帯状疱疹
IBDの患者さんはこの帯状疱疹発症のリスクが高いことが報告されています(1年あたりの発症リスク:一般 1.2~4.9人/1000人、IBD 6.67~9.2人/1000人※)。さらに、IBDの治療薬として飛躍的に使用機会が増えている治療薬に、「JAK阻害剤」と呼ばれる薬剤がありますが(薬の説明はコチラ)、この薬剤の副作用により帯状疱疹の発症しやすくなるということもあり、近年はこの「IBDと帯状疱疹」というテーマに関心が集まっています。
※Imafuku S, Dormal G, Goto Y, Jégou C, Rosillon D, Matsuki T. Risk of herpes zoster in the Japanese population with immunocompromising and chronic disease conditions: Results from a claims database cohort study, from 2005 to 2014. J Dermatol. 2020;47(3):236-244.
ワクチン、あります
IBDの方はもちろん、一般の方にも発症のリスクが高い帯状疱疹ですが、良い面もあります。それは、「予防接種による予防効果が高い」ということです。予防だけでなく、発症してしまった後のPHNの発症を抑える効果も高いことが知られています。
日本国内で使用できるワクチンは以下の2つです。
種類 | 乾燥弱毒性生水痘ワクチン 「ビケン」 (生ワクチン) |
乾燥組換え帯状疱疹ワクチン 「シングリックス筋注用」 (不活化ワクチン) |
接種回数 | 1回 | 2回 |
一般的な接種料金 | 8,000円程度 | 1回20,000円以上、 2回で40,000円以上 |
ワクチンの効果 | 予防効果:約50~60% 持続期間:5~7年 |
予防効果:90%以上 持続期間:10年以上 |
兵庫県HPより
当院では予防効果の高さや効果の持続期間の長さから、不活化ワクチンである「シングリックス」を採用しています。IBDの方だけではなく、発症率が上昇すると言われる50歳以上の方はぜひ接種を検討していただければと思います。思いますが…、なにせこのワクチン、高いんです、値段が😱。当院の場合2回の接種で44,000円になってしまい、ちっとも気楽に接種できません💦。この値段の高さが接種を躊躇する最大の要因になっていました。
祝!「帯状疱疹ワクチン定期接種化」(ただし65歳以上…)
この帯状疱疹ワクチンが2025年4月から定期接種化されることはご存じでしょうか?(帯状ほう疹ワクチン 来年度定期接種へ 65歳になった高齢者など:NHK)以前から厚労省で検討されていたようですが、急速に進む高齢化社会に対応するためにも、今回の定期接種化は(最近のなんでも縮小の傾向を考えると)大変喜ばしい措置です。助成される金額は地域によって違うようですが、この機会にぜひ接種を検討されてはどうでしょうか?(とは言え、対象となる年齢を考えるとIBD患者さんへの恩恵は限定的ですが)
IBDは「免疫の異常」が関与してるため、感染症とは常に隣り合わせだと言えます。まだまだ寒い日が続きますが、IBDの方もそうでない方もしっかりと予防をして、厳しい冬を乗り越えましょう。
特に、受験生の方は頑張ってください😆!!