おなかブログ
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あんどう消化器内科IBDクリニックのブログです。
最近、「薬が手に入らない」というニュースを聞かれることが多いのではないかと思います(医薬品3割で供給不足、4200品目に)。 これらは特に、「ジェネリック医薬品」において問題となっています。ジェネリック医薬品とは新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に、別の医薬品メーカー(先発医薬品と同じ会社が製造することもあります)が同じ有効成分、同じ効果をもつ薬を製造、販売したものです。新薬は長い研究期間(時には何十年にも及びます)と莫大なコストをかけて開発され、国の承認を受けて販売されます。当然それらの情報は企業秘密なわけですが、特許が切れた後(おおむね発売から10年ぐらい)からは、それらは国民の共有財産と見なされるため、他の医薬品メーカーは同じ有効成分を使った薬が製造・販売できるようになります。ジェネリック医薬品は、一から創る新薬に比べ開発費や開発期間が圧倒的に少なく、新薬よりかなり安いというのが最大のメリットです。
今回の「薬品の供給不足」の発端は、このジェネリック医薬品を専門に製造する、「ジェネリック医薬品メーカー」の不正事件がきっかけとなっています(いつもの薬がない…なぜ?いつまで続く?ジェネリック供給不足)。
もちろん、不正があった上にその薬を使っていた患者さんに健康被害がでた事は全く許されることではありませんが、このような事態になった背景には、あまりに急速にジェネリック医薬品の使用が増えていることがあるように思います。
私が医師になった20年前、ジェネリックという言葉はほとんど使われておらず(少なくとも仕事中に聞いた記憶はない…)、代わりに「ゾロ」と言っていました。当時はあまり意味も考えず(たぶんドイツ語の略かなんかかなと思ってた)に使っていましたが、何となく「品質の悪い安物」というイメージがあったのは事実です。実際、新薬の特許切れのあとにゾロゾロと後発品がでてくるから「ゾロ」と呼んでいたそうで(そのままやん… 😥 )、やはりネガティブは意味で使われていた言葉です。15年ほど前から、医療費削減のため、行政がジェネリック医薬品の使用を推し進めたことにより、現在では約80%の薬がジェネリック医薬品になっているとのことです。仕方がない面もあるとは思いますが、やはり短期間で無理に進めたひずみがこのような事態の背景にあったのではと思わざるを得ません。
この問題の他、コロナ禍でのさまざまな国の対応や、この度のマイナ保険証の件など、改めて、「政治と医療は密接に関係しているんだな」と考えさせられる場面が多々あります。正直、勤務医をしていたときはあまり意識する事がありませんでしたが(それもアカンけどな 😅 )…きっと院長として成長したということだな、と都合よく解釈しております✌
今回は少し、社会派的に迫ってみましたよ😎(笑)