おなかブログ
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あんどう消化器内科IBDクリニックのブログです。
最近、「健康保険証を廃止して、マイナンバーカードに一体化する」というというニュースをご覧になられたのではないでしょうか?(政府 再来年秋 健康保険証を廃止 マイナカード一体化発表) 当事者として思うところも色々ありますが、とりあえずそれは置いておきます😒 ただ、普段何気なく利用している”健康保険証”(というか、その制度そのもの)がいかに大事なものかというのを再認識させられた気がします。
日本の医療の大きな特徴は、「国民皆保険制度」を採用しているという点です。厚生労働省のホームページで「日本の国民皆保険制度の特徴」を挙げていますが、私が特に大事だと思われるのは次の2つです。
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国民全員を公的医療保険で保障
日本の公的医療保険は非常に優れていると言われています。保険診療を行っている医療機関であれば、日本国中どこへ行っても比較的安価な料金(概ね3割の負担)で一定以上の医療を受けることが可能です。アメリカでは通称「オバマケア」と呼ばれる公的保険制度が2014年に導入されましたが、対象者は高齢者や障害者、低所得者に限られています。その他の人は民間の医療保険に加入しなければいけませんが、高額の保険料が払えないために無保険状態の人が多数いると言われています。先進国のなかではスウェーデンやイギリスが日本のように国民皆保険制度を持っています。フランスやドイツも公的保険の加入率は高いですが、100%ではありません。
医療機関を自由に選べる(フリーアクセス)
自分で選んだ医療機関に自由に受診できるというのは、日本で生活してる私たちにとっては当たり前のことです。ですが、海外ではどのような病気であっても最初にあらかじめ登録したかかりつけ医の診察を受け、その紹介がなければ専門医を受診できない「かかりつけ医制度」を採用してしている国が多いのです。「かかりつけ医制度」は医師が患者さんの普段の体調などを把握しやすくなるメリットがある反面、専門医の診察を受けるまでに時間がかかるというデメリットがあります。当院は潰瘍性大腸炎やクローン病などのIBD(炎症性腸疾患)を専門としていますが、この”フリーアクセス”という制度がなければ、患者さん自身が受診したいと思っても、一度決められたかかりつけ医の診察を受け、紹介をしてもらってから受診、ということになります(その前に、受診したいと思ってもらえるかという問題はあるんですけどね… 😅)。
この「国民皆保険制度」、財源なども含め課題も色々ありますが、安心して最適な医療を受けるためになくてはならない制度だと言えます。
なぜ今回このような話をしたかというと、先日近畿厚生局による「新規開業個別指導」があったからです。これは「保険診療の取扱い、診療報酬の請求等に関する事項について周知徹底させること」を目的に、すべての保険医療機関に対して概ね開業から1年以内に行われます。コロナの影響で延び延びになっており、開業から2年もたつと、「いまさら新規開業🤔?」という感情がなかったわけではありませんが、改めて保険診療を考え直す良い機会になったと思います。
引き続き保険診療を尊守、活用しながら、適切な治療を行っていきます。