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「難病」がもつイメージ

 あんどう消化器内科IBDクリニックのブログです。

 潰瘍性大腸炎やクローン病などの診療を行っていると、「難病」「指定難病」という言葉とつきあわざるを得ません。が、個人的にはこの「難病」という表現がどうも好きになれませんというか、嫌いです)。「難病」と聞いて浮かぶイメージは人それぞれだとは思いますが、「不治の病」、「原因不明」、「治療法がない」、「不運」、「不幸」など…、どうしてもネガティブなイメージが先行してしまいますよね。

 元々難病とは、「治りにくい病気」や「不治の病」を指す一般用語であり、医学用語として明確に定義されているものではありません。そのため、本来はその時代の医療水準や社会事情によって変化するはずのものですが、施策上難病が定義されたのは、昭和47年の「難病対策要綱」によってです。そこでは以下のように定義されています。

 

  1. 原因不明、治療方法未確立であり、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない疾病
  2. 経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病

 

 

 半世紀前の法律であり、当然現在は当時とは医療水準が大きく変化していますが、長らく現状とかけ離れた状態で難病行政が行われてきました(まあ、多くの法律がそんな感じですね)。その後、平成26年5月になり「難病の患者に対する医療等に関する法律(通称:難病法)」が制定され、この時初めて「指定難病」という言葉が定義されました。

 

難病の定義である、

  • 発病の機構が明らかでない
  • 治療方法が確立していない
  • 希少な疾患
  • 長期の療養を必要とするもの、 に加えて、
  1. 患者数が本邦において一定の人数(人口の約1%程度)に達しないこと
  2. 客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が成立していること

が挙げられる。

 

 

 現在でも潰瘍性大腸炎やクローン病の発症原因は完全には明らかになっていませんが、様々な病気の発症や悪化に関わる要因が見つかり治療に応用されています。”治療法が確立されている”、というのは言い過ぎですが、年々新しい治療が増えているのも事実です。また、潰瘍性大腸炎、クローン病の患者さんの数はそれぞれ20万人、5万人ともいわれており、“希少な疾患”と呼ぶには少し無理があるように思います(「長期の療養を必要とするもの」という項目は残念ながら否定できませんが…)。

 

 潰瘍性大腸炎、クローン病をはじめとしたIBDは、「治りにくい病気」であり「長期の療養を必要」としますが、「不治の病」で「不幸」とは思ってもらいたくない・・・そんな思いがあって、できる限り「難病」という言葉は使わないようにしています。

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