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「ず~っと焼き肉には行っていません…」

「あんどう消化器内科IBDクリニック」のブログです。

 

 クリニックのスタートからそろそろ半年になります。日々の忙しさに追われ、開業準備をしていたのが遠い昔のように思われ、「まだ半年!?」というのが正直なところです。まだまだよちよち歩きですが、少しずつ成長できているのかな、と思います。引き続きよろしくお願いいたします。

 

こんな感じです

 

 

 普段、IBD(潰瘍性大腸炎やクローン病)患者さんとお話をしていると、当然の様に食事に関する話がよく出てきます。最近病気が分かった方はもちろんですが、発症から10年以上たったベテラン(?)患者さんからもよく聞かれます(「病気になってからお肉はササミしか食べていません。」「ラーメンはもう10年以上食べていないです…。」)病気が判明した時に厳しい栄養指導をうけ、それをかたくなに守られてしんどくなってしまっているように感じます。

 

 以前紹介した「炎症性腸疾患診療ガイドライン2020」の本文は137ページありますが、そのうち栄養療法に割かれているのはたった2ページしかありません。ですが、短い中にとても大事なことが書かれています。

(以下、一部抜粋です。)

 

潰瘍性大腸炎

「潰瘍性大腸炎に対しては栄養療法そのものに寛解導入効果はない。潰瘍性大腸炎の急性期には腸管安静による栄養管理は必要であるが、寛解導入目的で栄養療法を用いることは適切ではない。多くの患者は寛解期にあっても自主的に食事制限を行い、乳製品などを回避する傾向がみられる。しかしながら、その再燃予防効果は明らかではなく、逆にカルシウムの欠乏などが指摘されている。寛解期においては安易に不必要な食事制限を行って、栄養維持を妨げたり、栄勝の質を損なったりすべきではない。

 

クローン病

成分栄養剤(エレンタールのことです)はステロイドと比べて寛解導入率が高く、特に腸管病変の改善に優れているとの報告がある(30年以上前の報告ですが)。栄養療法は寛解維持にも有効である。摂取総カロリーの半分を成分栄養剤(しつこいようですがエレンタールのことです(^^;)で摂取すると、食事指導のみと比べて有意に寛解維持効果が高いことが報告されている。しかし、受容性に課題があることも指摘されている。」

 

これですね

 

 これらのことを踏まえて、日本消化器病学会が患者さんとその家族のために作った「炎症性腸疾患ガイド」では以下の様に記載されています。

「寛解期にはストレスや疲労をため過ぎない、暴飲暴食をしないといった基本的な注意を行いましょう。活動期には十分な睡眠・休養をとり、食事内容に注意しましょう。食事内容は腸にやさしい食品が望ましいとされ、バランスのよい食事をとることが重要です。外食のときなどは食事内容について細かく制限することは難しいと思われますので、ご自身に合わない食品は避けて、食べられそうなものを選んで食べるようにしましょう。活動期には、消化のよくない繊維質の多い食品や脂肪分や油分の多い食品、香辛料、酒類は避けたほうがよいでしょう。クローン病ではこうした腸の負担になる成分を避けて腸の安静を図る治療法(栄養療法)を行うことがあります。」

 

 

 食事を中心とした栄養療法の重要さは決して軽くなったわけではありませんが、様々な治療法が増えてくるにつれてその役割が変化してきているのも事実です。治療の目的はあくまで「健康な人とできるだけ同じような生活をすること」であることですから、そのためにどれぐらい栄養療法を取り入れるべきか(取り入れることができるのか)、一緒に考えていければと思います。

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