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少年ジャンプと、内視鏡DXの話 ~変わるものと変わらないもの~

 

あんどう消化器内科IBDクリニックのブログです

 

 スマホを見ていると、重要なニュースから、どうでもよいニュースまで、遠慮なく流れてきます。本当に大事なニュースを見逃してしまったり、本来の重要さが分からなくなりやすいため、情報に対するリテラシー(「正しい知識を身につけて活用する、あるいは使いこなす力」)は高く持っていたいと常日頃から思っていますが、そんな中、次の記事が目に留まりました。

 

『週刊少年ジャンプ、発行部数100万部を下回る 94年は653万部』

 

 日本雑誌協会が2026年8月に公表したデータによると、2026年4〜6月期の平均発行部数は98万5,000部。統計開始以来、初めての100万部を割ったとのことです。これも人によってはどうでもよいニュースだとは思いますが、個人的にはかなり気になる内容でした。

 

 

黄金期のジャンプ ~あの頃の日曜日~

 私が子どもの頃——1980年代から90年代前半にかけて——週刊少年ジャンプはまさに「黄金期」でした。「キン肉マン」、「北斗の拳」、「魁!!男塾」、「聖闘士星矢」、そして「ドラゴンボール」...。本来は月曜日発売ですが、地元の本屋さんでは前日の日曜日に発売されていました。いち早く手に入れて、休み明けの月曜日に友人と好きな漫画について盛り上がる、というのがお決まりのパターンでした(昭和ですな…)。1995年には653万部という、漫画雑誌史上最高の発行部数を記録。日本人のほぼ1世帯に1冊が届いていた計算になります。

 それが今やピークの約15%になったわけですが、「減った」というより、時代が変わった、という方が正確かもしれません。今でもジャンプの漫画は大人気で、電子版の読者を含めればむしろ世界中に広がっています。ただ「紙を手に取る」という行為が、確実に減ってきています。

 

 

そりゃ、変わりますよね…

 

 

 医療の世界でも同じです。私が医者になった頃——ちょうど大病院で電子カルテが少しずつ導入され始めた時期でした。とはいえ当時はまだ移行期で、カルテへの記載は「紙」が基本。血液検査や検査のオーダーの一部で電子カルテが利用されていました(むちゃくちゃ無駄が多い…)。実際はほとんどが”紙の移動”で成り立っていたわけで、カルテなどが入ったボックス(?)が、病院内に張り巡らされたレールに乗って各部署に運ばれていたことを今でも覚えています。もちろん採血などの検査結果は紙で出力されていました。仕事が落ち着いた、日付が変わるかどうかという深夜の時間帯に、検査結果の紙を丁寧に切り揃えて、カルテに貼る…。いかにきれいに見やすく貼れるか、ちょっとしたこだわりがありました(最初だけ)。今は当院も含め、ほぼすべての医療機関に電子カルテが導入されており、検査結果はクリックひとつで参照できるのが当たり前になっています。紙貼り作業…、遠い昔の記憶です。

 

 

 

 

 紙がなくなるだけではありません。最近、「自動採血機(採血ロボット)」の開発が進んでいるという記事もありました。AIとロボット技術を組み合わせ、自動で静脈を検出して採血まで行うというもの。中国の研究機関では実際に臨床試験が行われており、成功率94%以上という報告もあるそうです。クリニックの現場でも、自動受付・自動精算・オンライン予約・AI問診など、「いかに人の手を減らして効率化するか」が大きなテーマになっています。これらは患者さんの待ち時間短縮や、スタッフの負担軽減という意味で、間違いなく重要な方向性です。当院でも取り入れられるものは積極的に導入していきたいと思っています。

 

 

ただ——効率化できないものがある

 でも、少し立ち止まって考える必要があります。採血ひとつとっても、ベテランの看護師さんが「ちょっとチクッとしますよ」と声をかけながら行う採血と、ロボットが黙々と行う採血では、患者さんの体験として何かが違う気がします。診察も同じです。問診票やAI問診で情報は集められる。でも「先生、最近ちょっと気になってたんですけど…」と診察室でぽろっと話してくれる、その瞬間の空気感は、画面越しには出てこないものです。

 内視鏡検査も、まさにそうです。胃カメラ・大腸カメラは、患者さんにとって決して受けたい検査ではありません。「怖い」「痛そう」「緊張する」——そういう気持ちを抱えて来院される方がほとんどです。当院では検査前に看護師がしっかり時間をとって説明を行います。検査の流れはもちろん、「どんなときに苦しくなりやすいか」「そのときはどうするか」まで丁寧にお伝えすることで、検査にのぞむまでの緊張が少しでも和らぐように心がけています。検査中の声かけも大切です。「今、曲がり角を通っているので少し突っ張ります」「もう少しで奥まで届きます」——検査に限ったことではありませんが、人は今何が起きているかが分からないと不安が増してしまうものです。こまめな声かけが、体の余分な力みを取ることにもつながります。私自身は「多少時間がかかっても丁寧に」、を一番大切にしています。素早く終わらせることより、腸のひだの裏側や見落としやすい場所をきちんと確認すること。これはAIや自動化に代わってもらうのが難しい、「人がやるべきこと」のひとつだと思っています。

「スタッフが丁寧で安心できた」、「怖かったけど優しくしてもらえた」という言葉をいただくことがあります。これは、数字では測れない医療の価値だと思っています。

 

「効率」と「ぬくもり」と

 週刊少年ジャンプの100万部割れは、「紙の時代の終わり」を象徴するニュースです。でも、ジャンプが終わったわけではない。形が変わっただけで、面白い漫画を届けるという本質は変わっていない。

 医療も同じです。DX化・効率化は積極的に進める。でも「人が人を診る・看る」という本質は、どれだけ技術が進んでも変わらないし、変えてはいけない本質だと思います。

「効率化と、人のぬくもり」。相反するように見えるこの2つを、どう両立させるか——簡単には答えはでませんが、大事なテーマとして考え続けていきます。

 

 

 

 

 

ちなみに、私は紙派ですけどね(昭和なので)

 

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