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「アルツハイマー病の新薬承認」に思うこと

 

あんどう消化器内科IBDクリニックのブログです。

 

 先日、新型コロナウイルスのニュースに混じって、アルツハイマー型認知症の新薬のニュースが話題になりました(「アルツハイマー病の新薬 米FDA承認と発表 エーザイが共同開発」)。従来の薬剤が認知症の進行を少しでも遅らせることを目的とした”対処療法”であるのに対して、新薬である「アデュカヌマブ」は認知症に対する”根治療法”になりうるという点が非常に話題になっているようです。日本でも現在承認申請されているようであり、国内でも使用できるようになるのも遠くないのかもしれません。

 

 炎症性腸疾患の世界でも、画期的な薬剤の出現で治療が大きく変わったことがありました。2002年クローン病に使用が可能になったインフリキシマブ(商品名:レミケード)という生物学的製剤の登場です。アルツハイマー病の「アデュカヌマブ」と同様、それまでの治療が”対処療法”でしかなかったところで、”根治することができるかも知れない治療法”の出現は、まさに画期的な出来事でした。あれから約20年が過ぎ、数々の新規薬剤が使用できるようになっていますが、治療に対する根本的なアプローチは大きく変わっていません(そして、いまだに根治できないということも変わっていません…)。

 

 実はこのニュースを聞いたとき、私が最初に思ったのは「また高額薬価が問題になるんじゃないか…?」という点でした。以前ブログで、炎症性腸疾患の高額治療薬について書きました(ブログ「背に腹はかえられない・・・?」)。病気が起こる原因が複雑であるため、それに対する治療薬は非常に複雑な構造をもった特殊な薬剤である必要であり、そのような薬剤の開発には当然長い時間とコストがかかります。患者さんにもたらされる利益は非常に大きいのですが、かかる費用も莫大なものになります。日本には「国民皆保険」という素晴らしい制度があり、皆が(建前上)平等に治療を受けることができます。また、潰瘍性大腸炎・クローン病の方は、一定の条件を満たせば医療費の助成を受けることができ、高額な治療も比較的受けやすい環境が整っています。それ自体は本当に素晴らしい制度であり、治療する側からしても非常にありがたく思っています(医療費の問題で受けてほしい治療が受けられないということがほとんどない)。

 

 しかし、それらの費用の大半は公的資金によって賄われるわけで、元をたどれば国民の税金が使われています。昨今は医療費削減が毎年のように叫ばれており、患者さんの数が多い潰瘍性大腸炎・クローン病の治療費も常に俎上に挙げられています(とは言え、今のところ具体的に認められなくなることはないようですが)。炎症性腸疾患よりもはるかに患者数が多いアルツハイマー病の「アデュカヌマブ」も、無秩序に使われることになれば間違いなくなにかの制限がかけられることになると思われます。それにより、本当に必要な方への使用ができなくなることも起こるかもしれません。

 

 これらの薬剤は”非常によく効く”ため、治療する側としてはつい使いたくなってしまいます(使えば良くなるとわかっているのに使わずにいるのもなかなかもどかしかったりする…)「本当に必要な方に、適切に使う」ことができるよう、研鑽を積んでいかなければ、と考えさせられたニュースでした。

 

 

 

 というわけで(?)、今年の「特定医療費受給者」の申請が始まっています申請される方はお早めに <(_ _)>

 

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