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IBDに使用する薬剤と新型コロナウイルスについて ~内服薬編~

 

 新型コロナウイルに対する日本炎症性腸疾患学会からの通知の第3弾です。以前の通知と重複するところもありますが、患者さんに知っておいていただきたいポイントを要約してご報告します(薬はすべて商品名に変えています)。

 

 

Q. 5-ASA 製剤(ペンタサ、アサコール、リアルダ など)の投与は新型コロナウイルスの重症化に関連するのでしょうか?

A. 現在まで、5-ASA製剤が細菌・ウイルス感染リスクを上昇させるという報告はありません。従って、コロナ患者さんと濃厚接触、あるいは発症してもIBD患者さんが、5-ASA製剤を中止する必要はありません

 

 

Q. 全身性ステロイド投与中のIBD患者では、新型コロナウイルスの重症化リスクは高くなるのでしょうか?

A. 現段階では、ステロイド投与が新型コロナウイルスの臨床経過にどのような影響を及ぼすかについての明確な報告はありません

現時点では、

1. 安易なステロイド全身投与は可能な限り避け、他の代替治療を考慮する。
2. 但し、患者の疾患活動性によりステロイドの全身投与が必要と判断される場合は、患者さんの疾患活動性を踏まえて十分な投与量を決定すべきである。
3. 全身性ステロイド使用中の患者さんは、できるだけ速やかに効果判定を行い全身性ステロイドの減量を試みる

であると考えられます。

※ブデソニド(レクタブル、ゼンタコート)は腸管局所で作用し、全身の影響が少ないステロイドです。理論的には、投与中の感染リスクは低いと考えられますが、現時点では新型コロナウイルスが重症化リスクが、全身性ステロイドからブデソニドへの変更により軽減されるかは明らかではありません。

 

 

Q. イムラン、ロイケリンなどの免疫調節薬内服中は、新型コロナウイルスの重症化リスクは高くなるのでしょうか?

A. 症状が安定している患者さんでは免疫調節薬を中止する必要はありませんが、新型コロナウイルスの重症化率は高い傾向が見られます。

現時点では

1. 免疫調節薬治療中の患者さんが 新型コロナウイルス患者と濃厚接触した場合、2週間免疫調節薬の投与中断を考慮する。
2. 免疫調節薬治療中の患者さんが 新型コロナウイルス陽性と診断された場合には、ウイルス陰性が確認されるまでは免疫調節薬の投与中止を考慮する。

との提案がなされています。

 

 

Q.  JAK阻害剤(ゼルヤンツ)投与中の IBD患者では、新型コロナウイルスのリスクは高くなるのでしょうか?

A. JAK阻害剤使用中の患者の 新型コロナウイルスの重症率が高い傾向が出ていますが、症例数が少なく今後の経過を追うことが重要です。

現在

1. JAK阻害剤治療中のIBD患者さんでは減量を考慮する。
2. JAK阻害剤治療中のIBD患者さんが、新型コロナウイルス患者と濃厚接触した場合は、2 週間程度の内服中断を考慮する。
3. JAK阻害剤治療中のIBD患者さんが、 新型コロナウイルス陽性と診断された場合には、ウイルス陰性が確認されるまでは JAK阻害剤製剤を一時中断する。

と提案されています。

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